社長連載記事 #6
社長の仕事観・人生観
「仕事は人生を豊かにするためにある」
石井が社員に繰り返し伝えるのは、意外なほどシンプルな言葉だ。
「人生は仕事のためにあるのではなく、仕事は人生を豊かにするためにある。」
彼は24歳でオープンハウスに入社し、1年7か 月で70件以上の不動産売買を実現。売上185億円・粗利35億円という驚異的な実績を残し、史上初の「殿堂入り社員」に表彰された。年収はすでに2,560万円に到達し、周囲からは順風満帆に見えただろう。
しかし石井は、その経験を通じて「お金や地位だけを追っても幸せにはならない」と気づいたと語る。
「結果や数字は大事です。でもそれだけでは空虚です。だからこそ“世の為、人の為になることしかやらない“と決めました。」
この「仕事を通じて人生を豊かにする」という考えこそが、石井の仕事観の出発点だ。
苦境が与えた経営者としての視座
2018年、業界を揺るがす大事件が起きた。シェアハウス投資を巡る「かぼちゃの馬車事件」だ。サブリース契約の破綻が全国に波及し、多くの投資家が被害を受けた。PRESIは一切関与していなかったが、金融機関の融資姿勢が一気に厳格化し、アパート事業を止めざるを得なくなった。
「追い風のときは人が集まるが、逆風になると去っていく。過信していた自分にも多くの非がありました。」
多くの仲間が去る中、石井はひとりで会社を切り盛りした。
「その時間が、自分を“単なる凄腕営業マン”から“経営者”に変えてくれた」と振り返る。
営業マンは“数字をつくる力”が全てだ。しかし経営者には“会社を存続させる力”が問われる。苦境で得た視座が、彼の仕事観を根本から変えた。
経営者の責任「会社を潰さない」
石井が経営者として最も強く意識しているのは、「会社を潰さない」という責任だ。
「社員とその家族の人生を預かる以上、誰よりも会社を潰してはいけないのは自分です。」
「焦って事業を拡⼤すると、 ⽬先のお⾦に追われて判断を誤る。だからこそ、 資⾦的に余裕を持たせて、未来のための投資を続けてきました。」
短期の利益・成長のために「長期の信頼・成長」を削ってはいけない。経営者の視点とは、1件1件の取引の先に「10年後も残る会社をどうつくるか」を見据えることだ。石井はそれを実践で学び取った。
人間性と合理性の両立
石井の経営には、二つの軸がある。「人間性」と「合理性」だ。
人間性とは、素直で、誠実で、人を欺かず、短期的な利益よりも「長期の信頼」を選ぶことができること。一方で合理性とは、無駄を徹底的に排除し、効率的に成果を出す仕組みをつくること。
「社員には必ず言います。“しっかり寝て、栄養を摂れ、健康管理を怠るな”。体を削って結果を出す時代ではありません。頭と人間力で勝つ会社でありたい。」
不動産ベンチャーにありがちなブラックな働き方とは一線を画し、成果と健全さを両立させる。それが石井のポリシーだ。
人材育成は最大の投資
石井は、人材を「コスト」ではなく「投資」と捉える。
「会社が大きく成長するかどうかは、結局“人”で決まります。だからこそ、優秀な人材の採用・育成こそが最大の投資です。」
その言葉を裏付けるように、PRESIは一介のベンチャー企業ではあり得ない規模の採用費を投じている。さらに、入社直後から責任ある仕事を任せ、30代までに役員クラスを狙えるスピード昇格を可能にしている。単なる戦力としてではなく「未来の経営を担う仲間」として育てる姿勢が徹底されているのだ。
石井はこう振り返る。
「もし新卒採用をしていなければ、野球でプロ候補だった子や、バスケ全国大会で優勝を経験した子らと出会えなかった。彼らの勝負勘や粘り強さは、会社にとって大きな財産です。」
数字を作る営業マンから、人を育てる経営者へ。石井の仕事観は、自分一人で185億円を売り上げた「凄腕営業マン」の延長線上にはない。人に投資し、人の成長に賭ける。その覚悟こそが、彼を経営者として形づくっている。
人生観「人は志で動く」
石井の人生観の根底にあるのは「人は志で動く」という考えだ。
「最終的に、社員から“PRESIに入ってよかった”、“社長を信じてよかった”と思ってもらえること。それが私にとって一番の喜びです。」
この言葉に重なるのが、吉田松陰の思想だ。松陰は「志を立てて以て万事の源となす」と説いた。どれだけ環境が厳しくとも、志があるから人は前に進み、仲間が集まり、歴史を動かすことができる。
石井にとっての志は、「不動産業界で日本一になること」だ。ただし、それは単に売上や規模だけの話ではない。その真の目的は「人と社会を幸せにすること」にある。それを成し遂げて初めて「日本一」と呼べる。
挑戦を続けるベンチャーでありながら、人間性を磨き、共に未来を描いていく舞台。それが石井が描くPRESIの姿であり、彼自身の仕事観・人生観を映し出す鏡でもある。









